ライトトラップ調査
夜は、「龍谷の森」で毎月恒例のライトトラップ調査。夜は冷え込みが強くなってきた。
こんな夜でも活動している虫がいる。今夜はヒメヤママユがたくさん飛んできた。里山の秋を代表するとても美麗なガ。光に集まってきても、しばらくすると体が冷え切ってしまったのか、全く飛び立つことができなくなる。飛び立つ前には、羽を小刻みにふるわして、飛翔筋を暖めるというウォーミングアップをする。触角を見ていると性的二型があるようで、オスの触角は顕著なくし状だが、メスは突起が少ない。
最近見つけた樹液の出ているコナラを見に行くと、コクワガタのメスが来ていた。10月末まで活動しているとは知らなかった。この森には樹液の出ているコナラがほとんどないので、冬支度がまだできていないのかも知れない。しっかり食べなはれ。
瀬田北小総合学習
「龍谷の森」に瀬田北小の児童約160人がやってきた。まずは室内でTさんと「龍谷の森」周辺の歴史や生き物の話を1時間半ほどする。
瀬田丘陵の北側に農業用水であるため池がたくさんある。これらのため池の歴史は古く、江戸時代にさかのぼる。しかも当時の設計図が残っているのだ。土地利用の移り変わりをパワーポイントで紹介し、最近の写真はgoogle earthの人工衛星写真を使う。ついでに小学校の衛星写真を見せるとおおいに盛り上がった。
つぎにKさんも加わり、子どもたちを森で遊ばせる。今年はドングリの生り年なので、ドングリ拾い班・森の昆虫探し班・森の探検班の三班に分かれた。昆虫班の子どもたちを、それいけーと森に解き放つと、次から次へといろんな昆虫を集めてくる。朽木を崩して、コメツキムシやキマワリの幼虫なども掘り出してきた。最後に皆で集合し、収穫物を一堂に集めて品評会。
総合学習終了後にマレーゼトラップとウィンドウトラップを設置して長い一日が終了。
ナガエノスギタケ発掘
ナガエノスギタケ(別名、モグラノセッチンタケ)なる、モグラやネズミのトイレから生えるキノコがある。これが「龍谷の森」で昨年見つかった。今日はこのキノコの公開発掘。龍谷大学環境サイエンスコースの環境フィールドワークの受講生や瀬田北公民館が募集した市民など数十人が参加。京都新聞や毎日新聞の記者も取材にやってきて、大にぎわいだった。
モグラというのは、土の中に落葉を敷き詰めたねぐらをつくる。ねぐら近くにはちゃんと専用のトイレがある。ナガエノスギタケはこのモグラのトイレから生えるのである。つまり、ナガエノスギタケは、モグラの肥だめを養分として育つキノコなのだ。
この事実の発見者であるS先生が、昨年キノコがあった周辺を掘り進める。まず巣穴が見つかる。しかし、巣材の落葉は湿っており、いまは使っていない巣らしい。使用中の巣材は乾燥しているとのこと。
次にキノコの真下を掘り進める。モグラのトイレがあるはずだ。土壌の一部が黒化している場所があり、ここがトイレらしい。しかし、すでに古い。使用中の場合は、かなり臭いと聞いたので、匂って見るが、ほぼ無臭。モグラはミミズや昆虫を食べる肉食獣なので、さぞ臭かったことだろう。
トイレ跡には、植物の根も張り巡らされており、いい肥料になっているようだ。こうやってみると、キノコや植物がモグラのトイレを浄化しているように見える。S先生曰く、生息地浄化共生だそうだ。このすばらしい物質循環システム、われわれの人間社会も学ぶことが多い気がした。
最後に落葉のボール状の巣を掘り出す。巣材には900枚くらいの落葉を使うらしい。寝床後からは巨大なカニムシが見つかった。ちゃんと調べれば、モグラの巣にしかいないような昆虫が見つかりそうだ。巣を取り除くと巣の真下にも坑道があった。これがモグラの巣の特徴らしい。穴のサイズからコウベモグラだろうとのことだった。「龍谷の森」ではヒミズをすでに確認しているので、2種はいるようだ。また穴を埋め戻して、今日の作業は終了。
モグラの巣を見るという貴重な体験ができた。