「龍谷の森」のコウモリ


イギリス人のコウモリ研究者のD.H.さんに「龍谷の森」のコウモリ相を調査してもらうことになった。いつもの簡易型とは違い、録音もできる高性能のバットディテクターを持って森に入る。


同行したYくんと、この森にいるコウモリの英語名を事前に覚えてきた。しかしD.H.さん、屋久島で20年近く調査をしていたらしく、流ちょうな日本が出てくる。


林内ではコウモリの放つパルス音が聞こえない。そこで森林観測タワーに上る。林冠を越えるとアブラコウモリがたくさん飛んでいた。個体数は少ないようだがヤマコウモリやユビナガコウモリも確認できた。このアブラコウモリやヤマコウモリは、林冠を飛び回るが林内は飛ばないそうだ。さらにアブラコウモリは双翅目や小型の鱗翅目を餌とし、ヤマコウモリはアブラより大きな昆虫を餌にしているそうだ。このヤマコウモリ、一晩で体重の半分以上の重さの餌を食べるらしい。タワーの上には虫が少ないという謎がすこしだけ解けた気がした。


この森には可聴域のパルス音を出すオヒキコウモリもいるので、すくなくとも4種類のコウモリがいるようだ。


調査後、手作りの超音波発生器でキクガシラとコキグラシラコウモリの特徴的なパルス音を聞かせてもらう。大学の技官さんが作ってくれたそうだ。これをターゲットのコウモリの周波数に合わせると誘引できるそうだ。