ナガエノスギタケ発掘

kheperer2006-10-21



ナガエノスギタケ(別名、モグラノセッチンタケ)なる、モグラやネズミのトイレから生えるキノコがある。これが「龍谷の森」で昨年見つかった。今日はこのキノコの公開発掘。龍谷大学環境サイエンスコースの環境フィールドワークの受講生や瀬田北公民館が募集した市民など数十人が参加。京都新聞毎日新聞の記者も取材にやってきて、大にぎわいだった。


モグラというのは、土の中に落葉を敷き詰めたねぐらをつくる。ねぐら近くにはちゃんと専用のトイレがある。ナガエノスギタケはこのモグラのトイレから生えるのである。つまり、ナガエノスギタケは、モグラの肥だめを養分として育つキノコなのだ。


この事実の発見者であるS先生が、昨年キノコがあった周辺を掘り進める。まず巣穴が見つかる。しかし、巣材の落葉は湿っており、いまは使っていない巣らしい。使用中の巣材は乾燥しているとのこと。


次にキノコの真下を掘り進める。モグラのトイレがあるはずだ。土壌の一部が黒化している場所があり、ここがトイレらしい。しかし、すでに古い。使用中の場合は、かなり臭いと聞いたので、匂って見るが、ほぼ無臭。モグラはミミズや昆虫を食べる肉食獣なので、さぞ臭かったことだろう。


トイレ跡には、植物の根も張り巡らされており、いい肥料になっているようだ。こうやってみると、キノコや植物がモグラのトイレを浄化しているように見える。S先生曰く、生息地浄化共生だそうだ。このすばらしい物質循環システム、われわれの人間社会も学ぶことが多い気がした。


最後に落葉のボール状の巣を掘り出す。巣材には900枚くらいの落葉を使うらしい。寝床後からは巨大なカニムシが見つかった。ちゃんと調べれば、モグラの巣にしかいないような昆虫が見つかりそうだ。巣を取り除くと巣の真下にも坑道があった。これがモグラの巣の特徴らしい。穴のサイズからコウベモグラだろうとのことだった。「龍谷の森」ではヒミズをすでに確認しているので、2種はいるようだ。また穴を埋め戻して、今日の作業は終了。


モグラの巣を見るという貴重な体験ができた。