水場作成開始

kheperer2006-04-22



龍谷の森」の林内にはいつも水のたまった大きな水場がない。そこで、林内に人工的な水場を作成して、生物多様性の変化を観測する研究を始めている。この水場作成 before & afterのbeforeとして、これまでに2年間、水場作成予定地の各種生物相を調べてきた。


この研究、生態学的には、水域生態系が森林生態系へ与える影響を見ることになる。つまり、水中に落ちた落葉から腐食連鎖が始まり、または水中の植物プランクトンから生食連鎖が始まる結果、陸域の食物網がどのように変化するかを追うことができる。


予測としては、まずトビケラなどの水生昆虫が発生することで、それを食べるクモ類相が変化するだろう。クモ類を捕食する鳥類も増えるかも知れない。


もちろん水場へ生き物を放すことはなく、自然に定着する過程を観察する。また湿度が上がることで、付近の植物相や菌類相または地上徘徊性の昆虫相も変化するかも知れない。


と、前振りが長くなったが、今日は、環境論のフィールドワークとして水場を作成した。


龍谷の森」里山保全の会や里山サークル"きのっこ"の協力も得て、現在は水が涸れている水路に縦14m横3m程の第一水場を作る。作業としては、まず落ち葉をかきだし、次に有機層の土壌を取り除き踏み固めた後、粘土を30cm敷き詰める。


学生達のがんばりのお陰で実質作業時間2時間弱にも関わらずだいぶはかどった。しかし、粘土運びが作業のボトルネックなので、これは別の方法をとらざるを得ないだろう。昔の人たちの、ため池作りや田んぼ作りの苦労が忍ばれる。


[写真は地面の踏み固め中: S725]