REC鳴く虫観察会
今日はREC鳴く虫観察会。鳴く虫と言えば秋の夜というイメージだが、10月中旬になると気温も下がり、昼間でもよく鳴き声がする。
参加者は親子40人ほど。まず室内で近畿の鳴く虫を紹介してから瀬田丘陵の瀬田公園に行く。ここは草地なので、バッタやコオロギのたぐいがたくさん鳴いている。林内よりも草地の方がずっと種数が多いのだ。皆で虫とりをして、野外でお弁当を食べる。天気もよく、じつに気持ちが良かった。
観察または鳴き声だけを聞くことができたのは、ぜんぶで19種。ツヅレサセコオロギ・エンマコオロギ・ミツカドコオロギ・ハラオカメコオロギ・カネタタキ・クサヒバリ・マラダスズ・シバスズ・ヤチスズ・カンタン・アオマツムシ・キリギリス・クサキリ・クビキリギス・ホシササキリ・オナガササキリ・アシグロツユムシ・ツユムシ。
クズの茂みでカンタンの柔らかな鳴き声が聞けれたのがよかった。現地では分からなかった小さい種類もいたが、持ち帰って図鑑で調べるとヤチスズだった。個人的に、この場所では初記録。
[2006.10.14: クサヒバリ♀: 瀬田公園]
野外実習
今日は野外実習で伏見稲荷に出かけた。午前はゼミで稲荷での生き物観察ルート開拓兼鳴く虫観察、午後は講師のSさんと一緒に講義「日本の自然」の野鳥と秋の鳴く虫を観察する野外実習。
午前中は、道すがら植物や昆虫の説明をする。タラヨウ・ヤブツバキ・シイ・クスノキなどなど、植物はいつもそこにあるので説明は比較的楽だ。しかし鳴く虫の方は、まさに出たとこ勝負。今日はカネタタキが多かった。たまにツヅレサセコオロギやハラオカメコオロギが鳴く程度。林床植生の少ない林内にはほとんど鳴く虫はいないということだけが分かった。次回はどこか広い草地にでかけてみたい。
午後は、カラ類の混群に出会う。ヤマガラ・シジュウカラ・メジロ・エナガが群れとなり、次々と通り過ぎていく。数十頭はいる大きな混群だった。次に池を見て回る。カルガモ・マガモ・ゴイサギ・アオサギ・カワセミがいた。鳥以外では、アカミミガメ・スッポン・クサガメがいた。やはり水場があると生き物の多様性が高い。「龍谷の森」でも水場を作っているので、今後の生物相の変化が気になる。
あと午後は、カシノナガキクイムシにやられて、木くずの出ているスダジイを見た。このキクイムシは、ナラ・シイ類を枯死させる。このナラ枯れ現象はまさにいま、日本海側を北上中。その一部は南にも拡大し、京都では東山を南下し、ついに伏見稲荷にまで到達した。このあたりでも以前はマツ枯れがおもだったが、今後はナラ枯れが大流行しそうだ。すでに伏見稲荷では少なくとも4本で確認されている。うち2本が伐採済み、1本は現在すでに枯死、1本は生きているが木くずがちょうど出ている状態。早いうちに手を打たないと、ナラ枯れが一気に進み、大変なことになりそうだ。そんなナラ枯れ最前線を学生に紹介する。
「今日の鳥」
14種:カルガモ・マガモ・アオサギ・ゴイサギ・ハシボソガラス・ハシブトガラス・ヒヨドリ・キジバト・ドバト・ヤマガラ・シジュウカラ・メジロ・エナガ・カワセミ
「今日の鳴く虫」
カネタタキ・ツヅレサセコオロギ・ハラオカメコオロギ
鳥類調査
毎月恒例の鳥類調査。日の出も遅く6時起床。夜は涼しくテント泊も快適だ。
天気は良いのだが、鳥の鳴き声はまばらだ。毎年この時期、夏鳥は南に飛び去り、冬鳥の到来には早いため、渡り鳥の空白期間にあたる。鳴き声はなじみの留鳥ばかり。せめてもの救いは、山から下りてきたカケスの声を聞いたこと。そんなデータも必要と言い聞かせ調査を終える。
調査ルート上には、コナラのドングリがぽろぽろ落ちている。昨年はこんなことはなかった。今年は生り年かも知れない。落下種子を採集するシードトラップも仕掛けたので、豊凶の調査ができそうだ。
[今日の鳥]
メジロ・ヒヨドリ・カケス・ハシブトガラス・ヤマガラ・シジュウカラ・アオジ??(鳴き声のみ)・コゲラ・キジバト
ライトトラップ調査
実習の後片付けをすると急いで「龍谷の森」に向かう。今夜は毎月恒例のライトトラップ調査。夜はけっこう冷え込む。長袖でちょうどいいくらいになってきた。
2004年から毎月続けてきたこの調査。この森の昆虫相もだいたい分かってきたので、11月末で終了する予定だ。いつも3人でよしなしごとを話しながら調査しているのだが、月1のその機会がなくなるというのは、祭りの後のような寂しさもある。
調査を始めた頃は、森の中ではアオマツムシの鳴き声をあまり聞かなかったが、今年は多い気がする。このアオマツムシは、もともと日本にはいなかった外来種で、1800年代末に中国からやってきたと言われている。さらに現在も分布を拡大中らしい。
本家のマツムシ(チンチロリと鳴く)の、秋夜のうすら寂しさを助長するような鳴き声とはちがい、アオマツムシの鳴き声は木から降ってくる騒音のようだ。
[ヤママユ:2006.10.4 S0625]
大人の手のひらくらいになる大型のガ。色の変異が大きいようで、黄色から茶色っぽい個体までいろいろある。
土壌動物採集ー伏見稲荷
環境論の野外実習(土壌動物の採集)で、伏見稲荷に出かけた。この森は、コナラの多い「龍谷の森」とちがい、シイの高木が多いため昼間も薄暗い。地層も違うためか土壌水分も多いようだ。
学生たちと、がさがさ生き物探しをすると、いろいろと見つかる。大物では、オサムシ・ゴミムシ・センチコガネ・アカハライモリ・ニホンアカガエル・ムカデ・ミミズなど。キャーと言う声が上がったと思ったら、ケバエの幼虫玉だった。確かにあのわさわさ動く毛の生えた幼虫の群れは、気味の良いものではない。
野外で100人を超える学生を統率するのはかなり大変だが、野外実習はいろんな発見があるので基本的に楽しい。2人の実習補助員のおかげで時間内に無事終了。
2006年度 京都大学生態学研究センター公募実習「里山の生物多様性・人と里 山との関わり」の追加募集(3名限定)のお知らせ
野外調査をふんだんに取り入れた公募実習です。どの大学の学生でも参加でき、受講料は無料です。
締め切りが8/27と迫っています。
〜〜里山実習追加募集〜〜
2006年度(平成18年度)京都大学生態学研究センター
公募実習受講生募集要項(追加募集)
2. 開催目的および内容の概略
かつての里山は薪炭林・農用林として人々の暮らしにとって重要な場所で あった。しかし、燃料革命や農業革命により里山は伝統的な利用価値を失い、 都市近郊では急速に開発が進んでいる。さらに里山は、人が管理してきた自然 にも関わらず、豊かな生物多様性を育んできた。
この実習では、1500年余りにわたり利用されてきた滋賀県大津市・草津市 の瀬田丘陵の里山(植生は1960年代までアカマツ林、現在はコナラ林が優占) をフィールドとして、植物,昆虫,クモ,菌類などの観察・採集・調査によ り、里山の生物多様性調査の手法をまなぶ。また、講義では人と里山の生物と のかかわりをまなぶ。
3. 開催日時
2006年9月4日(月) 〜 2006年9月8日(金)
4. 開催場所
龍谷大学瀬田学舎の「龍谷の森」、
京都大学生態学研究センターの「CERの森」、
立命館大学びわこ・くさつキャンパスの「BKC湿地」
5. 講師一覧
<野外実習>
- 「里山の植生と植物相調査」
土屋 和三 龍谷大学文学部教授
- 「クモの観察と採集」
- 「ライトトラップによる昆虫の調査」
谷垣 岳人 龍谷大学法学部講師
- 「キノコの観察と採集」
- 「ニホンミツバチの生態」
- 「コアサンプルによる里山林の齢構成」
- 「森の種子散布-動物に運ばれた種子を調べるー」
木村 一也 金沢大学自然計測応用研究センター 日本学術振興会特別研究員
<講義 / 里山の自然・社会・人文科学>
丸山 徳次 龍谷大学文学部教授
6. 対象学生
学部3〜4年生、大学院修士課程及び博士課程の大学院生。
7. 追加募集人数 3 人
8. 所要経費 受講費は不要
9. 受講条件
受講者(学生)は、「学生教育研究災害障害保険」等に必ず加入していること。
10.受講申込
受講希望者は、「公募実習受講願」に必要事項を記入の上,「学生教育研 究災害障害保険」等の写しを添えて,生態学研究センター公募実習係へ提出し て下さい。(封筒の表に「公募実習受講願在中」と朱書すること)
「公募実習受講願」は、ホームページから入手いただくか,生態学研究セ ンター公募実習係へ請求ください。
11.受講願送付および問い合わせ先
〒520-2113 滋賀県大津市平野2丁目509-3
京都大学生態学研究センター 公募実習係
TEL:077-549-8200、FAX:077-549-8201
Home page:http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp
e-mail:kyodo-riyo@ecology.kyoto-u.ac.jp
なお、詳細については下記まで問い合わせください。
土屋和三 龍谷大学里山学・地域共生学オープンリサーチセンター
(龍谷大学文学部教授)
住所・連絡先:612-8577 京都市伏見区深草塚本町67
電話:075-642-1111内線3436 Fax:075-643-8510
e-mail: kma@let.ryukoku.ac.jp
12.申込期限:平成18年8月27日